ORGANIC GARDEN/セレクト理由/靴下たち

 2020年7月9日、僕は奈良県は広陵町、五位堂駅にいた。お取り扱いブランドORGANIC GARDENのご担当者様からお誘いを受け、実際に靴下を作っている現場を見せて頂けることになったからである。

 車で迎えに来て頂き、町の説明を受けながら工場へ向かう。町内を見渡すと、「仕上げ(アイロンがけ)工場」、「デカ箱(靴下を10足単位で詰めることができる箱)工場」、「染色工場」など靴下の周辺産業の工場もたくさんあり、各社が繋がって仕事を循環させているそう。 

 とは言え、戦後は安価な海外製品の台頭、また後継者不足等により、生産量は減少の一途を辿っている。
 海外に拠点をうつす工場が多い中、今なお広陵町で靴下作りに励むヤマヤ株式会社こそ、この旅の目的であるORGANIC GARDENの靴下が作られている現場です。

ORGANIC GARDENとは

 通常、靴下の原料となるコットンの生産には、農薬や枯葉剤が大量に使用されます。オーガニックコットンはそういったものは使用する事なく、手間と時間をかけて丁寧に育てられます。

 生産効率は決して良くないのですが、太陽の光をたっぷりと浴び、充分に成長してから収穫されるオーガニックコットンは一般の綿と比べ、空気層がしっかりと形成されており、吸収力や保湿力が高く、季節を問わず心地よく使えます。

 そんな環境や身体にもやさしいオーガニックコットンを使用した商品を提案するブランド。染料や仕上げ方法にもこだわり、肌の弱い方やお子様も安心です。

工場見学へ

 手回しの編み機。
 ハンドルを回すとくるくると靴下が編まれていきます。

 たくさんの編み機が並んでいます。
 色々なサイズや柄に対応して、機械の種類も様々。

 古い機会が多く、職人さんによるメンテナンスが欠かせません。
 機械編みですが、熟練の職人さんの情熱は感じ取れます。

 こちらは、ガラ紡織機で靴下を編む際に出てしまったエラー品。
 ガラ紡とは、海外からの輸入綿糸に押されがちだった明治期の日本で独自に開発された紡織機。
 ゆっくりと紡がれる糸は限りなく手紡ぎに近い風合いを持ちます。

 しかしながら古い機械のため、熟練の職人さんによるメンテナンスが欠かせず、その上でたくさんのエラー(穴ができたり、糸が絡まったり)が出てしまうのです。
 このようなエラー品は再度解いて糸の状態に戻し、再度紡ぐのだそう。これだけで非常に手間暇が掛けられているのが分かります。

ORGANIC GARDENの靴下たち。

 手間と時間を掛けて作られたオーガニックコットンを贅沢に使い、古くから伝わる機械を今なお動かし、編まれる靴下。熟練の職人さんたちの情熱もそこに注がれます。
 当店では、定番展開として下記アイテムをお取り扱いしています。

【ガラボウ ミドルソックス】 

▶︎ORGANIC GARDEN ガラボウ ミドルソックス ¥2,420-

 先ほどご紹介した、ガラ紡織機でできあがる糸で作られています。
 ポコポコとした質感が柔らかく、一方でかかと周り、つま先、足裏をいつもの靴下より数倍しっかり包み込んで守ってくれる感覚があります。

 ガラ紡織機で作られた糸は、空気を含む層もしっかりしていて、より柔らかくふくらみます。
 繊維の中の空気の層が保温効果を発揮しながら、しかもムレないので冬はもちろん、夏の冷房対策にも手放せません。

【ヤク リブソックス】

▶︎ORGANIC GARDEN ヤク リブソックス ¥2,090-

 ヤクの毛の中でもより希少な「うぶ毛」と、オーガニックスーピマコットンの混紡糸を原料に、旧式の機械で編み上げたリブソックス。
 ざっくりとしたローゲージで編み立てており、しなやかで柔らかく、ウール混ながらチクチク感一切感じません。
 そこまで厚手ではないので、夏以外、長いシーズンで着用頂けます。

 「ヤク」とは、チベット高原を中心に標高3000m以上の高地に生息するウシ科の動物のこと。
 その希少性からカシミアと並ぶ高級天然繊維(高級獣毛)と言われています。

 ヤクの毛は高い保温性がありながら、吸湿性に優れ、蒸れにくいという特徴があります。

【ホワイトヤク リブソックス】

▶︎ORGANIC GARDEN ホワイトヤク リブソックス ¥2,420-

 全体のヤクの内、数%にも満たない白色のヤクの毛を贅沢に使用。加えて、オーガニックスーピマコットンの混紡糸を原料に、旧式の機械で編み上げたリブソックス。

 先程ご紹介したヤクリブソックスも、このホワイトヤクリブソックスも染色などはしておらず、ヤクとオーガニックコットンそのものの色味なのでとってもナチュラルでコーディネートにも馴染みます。

【ヤク タビ型パイルソックス】

▶︎ORGANIC GARDEN ヤク タビ型パイルソックス ¥2,200-

 先と同様、ヤクのうぶ毛とオーガニックコットンの混紡糸を原料に編み立てているのですが、こちらは足裏と内側に当たる部分をパイル編みで仕上げることで、弾力性と暖かさをよりアップしています。

  一方で甲部分は細かいリブ編みにおさえ、厚みが出過ぎないように調整。
 靴が窮屈になりにくいのでスニーカーはもちろん、革靴とも好相性です。

ぬくもりのある靴下

 靴下って、コーディネートの主役になるものではないかもしれませんが、僕たちの快適な生活を下支えしてくれているものだと考えています。
 そうなれば、当然履き心地(素材)にはこだわりたいし、さらに言えば生産者の情熱が分かれば気持ちも上がります。

 ORGANIC GARDENには、ヤマヤ株式会社には、僕が靴下に求めるものが揃っているのです。
 もちろんただ素材が良いだけ、職人さんが作っているだけ、ではありません。
 着用と洗濯を繰り返しても固くなりにくく、耐久性に優れており、毎日に寄り添う道具として高い完成度を誇っています。

 是非皆様も、一度その”ぬくもり”を感じてみてください。


 最後になりますが、今回、お忙しい中お時間を作って頂きましたヤマヤ株式会社の皆様、本当にありがとうございました。